似非恋愛 +えせらぶ+
* * *
家に帰って寝支度をした私は、布団に寝転んで斗真のメールを開いた。
『今、何してる?』
『今日は早く帰れよ』
『あんま遅くなるんじゃねぇぞ』
こうして読み返してみると、斗真は私をひどく心配しているようにも見える。
関係を清算したことで、私がどうにかなってしまうとでも思っているのだろうかと思っていた。だからこその過干渉なのだと思っていた。斗真の斗真なりの優しさなのかもしれないと。
でも、木戸さんの言葉が頭をぐるぐる回っている。
―― どう考えたってその男、お前のこと好きだろうが ――
私はため息をついた。最近ため息をつきすぎていて、よく言われるようにため息のたびに幸せが本当に逃げているのだとしたら、私の幸せなんてとっくの昔に尽きてしまっているかもしれない。
もしも、斗真が私のことを好きなんだとしたら……。
そうだとしたら、メールの印象ががらっと変わる。
斗真が、私のことを好きだなんて……そんなことが……。
認めるのが怖い。
認めてしまって、後戻りできなくなるのが怖い。
認めた後で、やっぱりそんな事実はなかったとなるのが怖い。