似非恋愛 +えせらぶ+

「うん? いや……篠塚さんと会ってる時、いつもあの人いる気がする。最初は気のせいかなって思ったんだけど……いつも、篠塚さんのこと見てるから」
「っ!」

 私は明らかに怯えて、真治の方を見た。真治は冷たい瞳でこちらを伺っている。じっと、こちらを見つめている。
 様子のおかしい私に気づいて、小城君は私を背中に隠した。

「もしかして、幼馴染みって、あの人?」

 私は首を横に振った。

 どうして真治が私のことを……?

「篠塚さん、あいつ、こっちくる……」
「に、逃げましょう……っ!」
「わかった」

 小城君が私の手を握って、真治から遠ざかるほうへと走る。私も必死で走るけど、パンプスが辛い。

「だ、大丈夫?」

 頷くのが精いっぱいな私。

「追ってきてる」

 なんで、今更……っ!
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