似非恋愛 +えせらぶ+

「篠塚さん……」

 警察の人に説明をしていた小城君が、私達のところに来る。だけど、私は話すどころじゃなかった。

 刃物を持った元カレに追いかけられ、危うく刺されかけた。

 そのようなことを、斗真が言ってくれているのが、辛うじて聞こえてきた。

「すみません、こいつかなり混乱してるし、怪我してるんで、聴取とかは後日でもいいですか。連絡先お渡しするので」
「はい、このまま車で病院までお送りします」

 怪我……?

 私は自分の足が盛大にすりむけていることに、今気づいた。

「あの……」

 小城君が斗真に声をかける。斗真は小城君を見て、私を抱きしめる力を強めた。

「本当に悪い。申し訳ない。でも、こいつ、俺のなんだ」
「そっ、それは……、どういう……?」

 斗真……?
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