似非恋愛 +えせらぶ+
「好きなんだ、こいつのことが。他の男にやれないくらい。だから、本当に申し訳ないけど、今日はこのまま俺が連れて帰る。落ち着いたら、ちゃんと説明する」
「え……?」
呆けた声を出した私を誘導して、私は警察の人が用意してくれた車に乗り込んだ。女性警官の方も一緒についてきてくれている。
そして、私は斗真と一緒に病院に向かった。
診断は、全治2週間の打撲だった。
訳が分からないまま、気づいたら私は斗真の部屋でソファに座っていた。
「香璃、大丈夫か?」
いつのまにか涙は止まっている。擦りむいた足の包帯が痛々しいし、打撲も痛いけど、なんとか思考が追い付いてきた。
「いったい……なにが……」
「まずは、これに着替えろ。着替えられるか?」
部屋着を手渡され、私は頷いた。のろのろと汚れてしまった服を脱いで、部屋着に着替えた。