似非恋愛 +えせらぶ+
「悪いのは斗真でしょ……私は、ずっと、小さい頃からずっと、斗真のことが好きだった!」
涙が止まらない。
ずっと好きという気持ちを隠してきた。隠すことに慣れてしまっていた。そうか私は自分に嘘をつき続けていて、いつのまにか、こんなにも傷ついていたんだ。
「悪かった」
「そうだよ、斗真が悪いっ。なんで、おいていったの」
今泣いている私は、いつの私だろう。
斗真が目の前から消えて、泣くこともできなかった幼い頃の私なのだろうか。
斗真に想いを告げたことで昇華できたと思っていた、あの頃の私なのだろうか。
「斗真のこと、忘れたことなんてなかったんだから……っ」
「香璃……」
ああ、言ってしまった。
ずっと隠していたかった、本当の気持ちを。
「今まで付き合った人たち……多分心から好きになんてなってなかった……全部偽物だった。だって、私は斗真のことが好きだったから」
そうだったんだ。
斗真のことを忘れるために付き合った男達、3年も付き合っていた真治も、好きになろうとしていた小城君も、きっと本気で好きになんてなってなかった。
ずっと偽物の恋愛関係を続けていたのは、私だ。
私は彼らを利用していただけの、汚い大人だ。
すべては斗真を忘れるためだった。
「私は、斗真のことが……っ」
「もういい、本当に、悪かった」
私は、ずっと、自分を偽り続けてきたんだ。