似非恋愛 +えせらぶ+
「斗真が、好き……」
「俺も好きだ、香璃」
斗真は、私を抱きしめて、背中をさすってくれた。涙が留まるところを知らない。とめどなく流れるこの涙は、今までずっと偽ってきた自分の心の涙だ。
「そのまま聞いてろ」
頭の上で響く斗真の声に、私は頷いた。
「俺は昔、お前の言うとおり由宇のことが好きだった。けど……今考えたら、姉への憧れみたいなもんだったけど、それでもいっぱしに傷ついて、逃げるように親父達についていった」
やっぱり、斗真は由宇の結婚がきっかけで私の前から姿を消したんだ。
「再会したとき、本当に綺麗になってて驚いた。それに……お前との思い出が、一気に脳みそに溢れて、凄い衝撃だったのを覚えてる。凄く懐かしくなって……だからお前の気持ちなんか考えずに、ああ言った」
斗真の告白を聞きながら、私は再会してからの斗真との思い出をそっとなぞっていた。
『付き合ってるふりしてやるよ』
私の心を、再度凍らせた一言だ。
「それからすぐに後悔したんだ。お前の気持ちに、気づいたから。いったんは距離を置こうと思った」
私はそんなに、わかりやすかったのだろうか。自分でも隠し慣れてしまって気づいていなかった感情に、斗真はすぐに気付いたというのだろうか。