似非恋愛 +えせらぶ+
そうだ、再会してすぐ、斗真はメールを返してくれなくなったり、無視したりしてた。
「陣達との打ち合わせでお前ん所の会社で会ったとき無視したのも、距離を置こうと思ったからだ。でも、お前といるのが心地よくて……結局ずるずると関係を続けた。本当に、悪かった」
私は首を横に振る。
心地よかったのは、私も同じだ。
だって、ずっと好きだった人と、付き合っているふりででも一緒にいられたのだから。
私達の関係は偽物だったけど、私の恋心はきっと本物だった。
「お前の実家に行ったときに嘘ついたのも、外堀を埋めたかったのと、見栄を張りたかったのがある。由宇に今幸せなんだって見せつけたい気持ちがなかったと言えば嘘になるし、付き合ってるふりなんて曖昧な関係じゃなくて、確固とした関係になりたいと願ってたのも本当だ。本当に自分勝手だった……。
でも、お前の告白を聞いて、今度はお前が俺から離れようとしているのに気付いた」
私を抱く斗真の力が強くなった。いつの間にか、私の涙は止まった。
あの頃、みあの告白を聞いた私は、偽物の関係をやめなくてはいけないと思っていた。そして斗真を失いたくなくて、私は偽物の関係をやめる決心をした。