似非恋愛 +えせらぶ+
 * * *

 玄関を開けたら、そこにいた拓弥が歓声を上げた。

「とーまっ!」
「おっ、拓弥」

 久々に会えた斗真にはしゃいだ拓弥が飛びついてきた。どうやら、ずっとそこで待っていたらしい。初めて会ったときに固まっていたのが嘘のようだ。

 その日、私達は結婚の報告をするために実家に帰ってきた。


 あれから私の傷も癒え、小城君に紹介してもらったお互いの会社のちょうど中間地点である新居に引っ越し、2人暮らしが始まっていた。

 木戸さんに結婚することになった旨を伝えると、一足飛びだとからかわれた。でも、幸せになれと言ってもらえた。
 みあに私と斗真の物語を告白したら、号泣してしまった。みあには本当に頭が上がらない。

 こうして私と斗真は、関係各所に結婚の報告をしていた。
 もちろん、両親には最初に電話で報告したのだけど、そうしたら斗真のご両親が日本に帰ってくると言い、今回の帰省の運びとなったのだ。

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