似非恋愛 +えせらぶ+

 自分の心に、何度も何度も言い聞かせて、ため息をついた。そして、おもむろに立ち上がる。

「ちょっと休憩してくる」
「はーい、いってらっしゃい」

 声をかけると、近くにいた新人の島田満(しまだみつる)が気の抜けた返事をした。私の様子が多少おかしくても、こいつに気付かれることはないだろう。

 私は休憩ルームに移動した。
 いつ座っても座り心地のいい一人掛けのソファに、くずれるように座り込む。
 一人掛けのソファが並んでいる一角は、リラックスできるように観葉植物で囲まれているから、ぱっと外からは座っている人の様子がうかがえないようになっている。

 一人になりたいときは、いつもここに来ていた。

 スマホを開いて、先ほどの真治からのメールを一瞥した後、すぐに削除した。そして、そのままメール作成画面を開く。

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