似非恋愛 +えせらぶ+
【今日、会えない?】
それだけ打って、斗真にメールした。自分でメールしたのに、直後に、酷い罪悪感に襲われた。
私と斗真は、付き合っているふりをしているだけだ。お互いに、恋愛感情なんて持っていない。
それなのに、体の関係を持ってしまった。望むがままに、繋がりあってしまった。
ただ、傷ついた心を癒すために、お互いに慰めあいに使おうとしている。
こんな関係が、健全なものであるわけがない。
頭では分かっているのに、真治のせいで乱された心を癒すために斗真に連絡している私がいる。
「……何を、間違えちゃったんだろう」
私が斗真のことを好きだったのは遠い過去の話だ。だからこそかもしれない。今のこの関係に何も感じないかと問われれば、私は答えにつまるのは。
斗真への想いを、幼いころの恋心のままに留めておけたなら、こんな気持ちにはならなかったに違いない。
あのころの純粋な思いを、私は穢してしまったような、そんな気持ちを抱いていた。
でも、もう遅い。私達は一線を越えてしまった。