似非恋愛 +えせらぶ+

 * * *

 昼休みに、私は思い切って斗真にメールをした。

【会いたい】

 返事はないかもしれない。無視されるかもしれない。
 それでも、会いたかった。抱きしめて、もらいたかった。

 この虚しさを、埋めてもらいたかった。

 メールを送った後は、極力スマホを気にしないようにした。きっと、返事は来ないと思っていたから。
 買ってきたサラダをリビングの机に広げ、ぼんやりしながら食べていると、スマホのバイブが鳴り、驚いて体を震わせてしまった。

 タイミング的に、斗真からの返信かもしれない。いや、キャリアからのお知らせメールの可能性の方が高い。
 左手で、スマホのロックを解除して、画面を確認した。

【差出人:後石斗真】

 画面に表示された斗真の名前に、レタスを口に運ぼうとしていた右手の箸が止まった。

 斗真から、返事が来た。

 私は慌てて箸をおいて、メールを確認した。

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