似非恋愛 +えせらぶ+
「ほら」
斗真が手を引き、私はそれについていく。
自然と手をつないで歩いているというこの状況に、私は赤面した。
ただ、手を繋いで歩いているだけだというのに。
「どうした」
「いや、だって、手……」
どもった私に、斗真が視線を手に落とす。
「嫌か?」
「いっ、嫌じゃないけど……恥ずかしい」
次第に小さくなる私の言葉に、斗真が笑みを返す。
「上等だ」
色気を増した斗真にあてられ、私はついていった。