似非恋愛 +えせらぶ+
* * *
「……最近、あいつから連絡は?」
「え?」
電車の中で斗真が突然訊いてきた。何の話か分からず、きょとんとする。
「あいつだよ。お前の元彼」
斗真が呆れたように苦笑した。
なんだ、真治のことか……。そういえば、あれから全く連絡がない。
「……ああ、連絡来てないわ。私からもしてない」
斗真のことで頭がいっぱいになっていて、すっかり忘れていた。
忘れられていたということに、私は驚いた。
「そっか」
真治のことを話題にあげたくなくて、私は違う話を振った。
「そういえば、今日はみあと氷田君、デートみたいね」
私の言葉に、斗真がくすりと笑った。
「へぇ? 道理で、陣が浮かれてたわけだ」
私は疑問に思っていたことを口にした。