似非恋愛 +えせらぶ+

 寝息をたてるたびに首にあたって、少しくすぐったかった。身動きをして起こしてしまっては申し訳ないので、なるべく動かないようにする。

 私は起こしてしまわないように気をつけながら、そっと斗真の腕に触れた。

 程よく筋肉がついた逞しい腕。
 無駄な肉のついていないおなか。
 綺麗に筋の入った背中。

 全部、愛おしかった。
 ねえ、斗真、私はあなたの身体じゃなくて、心が欲しい……。

 ああ、そっか。
 私は、斗真が好きなんだ。

 それを認めてしまった瞬間、気持ちがあふれてしまった。

「……好き……」

 寝ている斗真に聞こえないように、小さな吐息を漏らした。私の目じりを、涙が濡らした。


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