似非恋愛 +えせらぶ+
そんなことをぐるぐると考えていると、トイレにみあが入ってきた。私を見るなり、心配そうに声をかけてきた。
「香璃さん、大丈夫ですか? 体調でも……」
駄目だ。
「ねえ、どういうこと?」
気づけば、我慢できずに私はひどくきつい言葉を投げかけていた。
自分でも驚くくらい、低く、冷たい声が出た。
「木戸さんと、付き合ってるの?」
「え? いえ、木戸さんとは……」
みあが、そんな私の様子に当惑しているのがわかる。それでも、追及が止められなかった。
「みあには氷田君がいるわよね? ねぇ、どういうこと?」
皆まで言わさず、私はみあに罵倒を浴びせる。
「あんたが二股するような最低女だったなんて、見損なったわ」
「香璃さん……っ」
はた目にも、みあの顔が真っ青になった。
それでも、止められなかった。
私は、可愛い後輩を追い詰める。