似非恋愛 +えせらぶ+
「香璃さん……」
でもこの子は、気づいているんだろう。私と斗真の間に、何かあるってこと。
それでも、言えない。
でも……。
「……話すから」
「え?」
私は涙をぬぐって、みあの手を取った。
「いつか、ちゃんと話すから。ごめんなさい……話してくれて、ありがとう」
今は言えない。だけど、私もちゃんと自分の気持ちと向き合うから。
向き合って、きちんと結果を出すから。
「みあ、また飲みに行きましょう」
「はい」
みあのほっとしたような笑顔に、私は彼女の手を強く握りしめた。