似非恋愛 +えせらぶ+
「久しぶり、だな……」
酔いのせいか、はたまた動揺のせいか、斗真がかすれた声で言った。
「ええ……。まさか、こんなドラマティックな再会をするなんて思ってなかったわ。もう、12年になるかしら」
「お前……雰囲気変わったな」
そっと息を吐くように、私は言った。動揺を悟られないように。そんな私を見て、斗真が素直な感想を述べる。
私は、落ち着かせるために氷が解けかけた梅酒を口に含んだ。そして、困惑しているみあ達の方を見た。
「ごめんなさいね」
「いえ、でもびっくりしました。こんな偶然あるんですね……まさか、陣の先輩が、香璃さんの幼馴染だなんて……」
みあが驚きから立ち直って、言った。先ほどからみあは、隣の氷田君と目配せをしている。お互い、どう反応すればいいのか困っているのだろう。
そこで、少し悪戯心が出た。
「そういえば貴方達は、どういう関係なの?」
私の質問に、2人は同時に言葉に詰まった。やはり、どうやらわけありらしい。