似非恋愛 +えせらぶ+
お風呂場から出ると、洗濯したてのタオルとスウェットが用意されていた。そして、前に泊まった時に用意した替えの下着も。
これを準備している斗真の姿が想像できなくて、笑ってしまう。
私は素直に、準備された服を身に着けた。
「斗真……?」
リビングに向かうと、斗真がソファに座っていた。横目で私を見て、とんとんと自分の隣をたたいた。
私は素直に斗真の隣に座る。
「髪、ちゃんと乾かせよ」
斗真が呆れたように、まだ肩にかけたままだったタオルを私にかぶせた。
「そんなにしなくても、乾くよ」
「風邪ひくだろ」
斗真の大きな手が、私の髪の毛を乾かす。
斗真が、優しい。
今までのどこかよそよそしかった態度が嘘のように。
「……一緒にいた子は、彼女候補なの?」
タオルを動かす手が、止まった。