似非恋愛 +えせらぶ+
「ん、どうした」
「いえ、こうしてゆっくり話したこと、再会してからなかったかな……って」
斗真が目を細めて笑う。
「お前は昔から俺とまともに話してなかっただろうが」
そう言って私の頭をなで、髪の毛を梳く。
昔は、斗真のことが好きで素直になれなかった。由宇のことが好きな斗真に、近づけなかった。
今は、こんな複雑な関係になってしまって。
昔の私は子供だった。でも今の私は大人になっていろんなことを経験したんだ。