ラストフレーズ
付き合いたての頃はよく友達に、
「ユメはいいよね~。かっこよくて歌も上手い彼がいるんだから~」
などと冷やかされた。

確かに自慢の彼氏だった。優しいし、かっこいいし…
ただ、付き合ってわかったのだが、バンドの方がユメよりも優先順位が上だった…それだけがユメは納得いかなかった…

誕生日当日、ユメは学校を昼休みに抜け出し、シュンとの待ち合わせ場所の公園に向かった。

待ち合わせ場所の公園は近くに大学があり、休日の昼間ともなれば子供やカップルで賑わう、わりと大きめの公園だ。
毎年ユメの誕生日の時期には公園中に落ち葉の絨毯が敷かれ、まるで黄金の公園のようになる。

「お待たせ~☆」
軽く息切れしながらユメは言った。
「おっ、今日は時間通りだな。エライエライ♪」
シュンはユメの頭を撫でながら言った。

「学校抜け出すなんて、中学以来だよ!超苦労したんだからね!」
「悪い悪い、でも放課後じゃ、あんまり一緒にいられないじゃん♪誕生日くらい学校休んでもバチ当たんないよ。」
小学生のような笑顔でシュンが言った。そして二人は遊園地に向かった。

遊園地に向っている途中、シュンはいつも通り、新曲の話や次のライブの事をユメに報告した。
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