ラストフレーズ
街にいても、大学にいても、必ずカップルの姿が目に入る…

そしていつもこう考える。
あの二人はどこで出逢い、いつから互いが特別な存在になり、そして何を目指しているんだろう?

恋愛にゴールはあるだろうか?結婚して子供ができて、そのあとは?

いやに哲学的な疑問だが、ミサコと別れた日からボクはずっと考えている。そして答えがわからず、恋愛は無意味なものと思い始めてしまった…

ユメとの約束の時間が迫るにつれ、ボクは緊張して口から心臓が出そうだった。
「ただ曲を作るだけ。ただ曲を作るだけ…」

呪文のように唱えて自分を落ち着かせる。

そんな事をしてると時間はあっという間に過ぎ、約束の時間になった…

ギターと筆記用具も持ち、ボクは公園へ向かった。

公園にはユメと出会ったあの日のように10組ぐらいのミュージシャンがいた。
「時間ぴったりですね。」
振り返るとそこにはユメがいた…

笑顔で立っていた彼女はやっぱりミサコに似ていた。というより高校時代のミサコそのものだった…

「時間には厳しい方なんでね。」

ボクはあえてクールな言葉を返して、冷静さを取り戻そうとした。

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