ラストフレーズ
バイトが終わり、アパートに帰り、もう一度ユメに会うためにボクは曲を作り始めた。

が、ブランクとは恐ろしいものだ、たった一年とちょっと曲を作らなかっただけで全く書けなくなるとは…
「全っ然書けない!このままじゃ、いつまでたってもユメに会えない!」

苛立ち、ノートを破ったとき、昔書いた、
『プレゼント』という曲が目の前に現れた…そのページには詞がほとんど書かれていなく、ギターのコードだけが書かれている。

「この曲を完成させる事ができれば…」

しかし、ボクにはこの曲を書けない理由があった…書きたくても『過去』が自分をまた傷つけにくるのを恐れてしまい、結局書けなくなってしまうのを知っていた…

「こいつが完成していたらきっと、違う生活を送っていたんだろうな…」

そう呟き、頬に涙がつたうのを感じ、その日は曲作りをやめた。

その夜、ボクは不思議な夢をみた…めったにみないし、みても覚えてることなんてほとんどないのに、その夜の夢は怖いくらい鮮明に覚えていた…
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