光の速度、君への想い
小山田真帆は、父の執務室を出ると、急に力が抜けたいつもの顔に戻った。


『緊張するなぁ・・・やっぱり』


私は、小山田真帆のその姿を見ると笑いが込み上げてきた。


棚橋幹也が近くに居たら笑い飛ばすに違いない。


小山田真帆は整った顔を少し膨らませた。


『小山田さんも、緊張する時があるんですね・・』 

『戒音さんは、私をサイボーグとでもおもってるのかしたら?』


冗談混じりの言葉に笑顔になる。


『今日はね、宇宙装機といって、宇宙空間下での、まぁ、ロボットとパワードスーツの合いの子の様な、これから、宇宙ステーションで配備されるであろう、機械を試験するの』


『父から話しは聞いています・・今後の宇宙開発の要になる・・』


そこまで言うと、小山田真帆はニヤリと笑い、頭をくしゃくしゃに撫でてきた。

『表情が固いょ!戒音ちゃん、いかんよ――それは』

まるで、世話焼きオバサンの様な小山田真帆に苦笑する、私は表情を作るのが得意だったから、あまり近づかないように、曖昧に好かれる表情をするのが得意だったから、彼女の様に、ある意味、ひとなっつこい相手は苦手だった。
どうしていいか、わからなくなるからだ。


小山田真帆に半ば強制的に試験棟に連れていかれた。訓練棟は沢山の部屋に別れていて、私は、水中訓練室に連れていかれた。


中央に深いプールがあり、プールサイドには、西洋の鎧の様な、黒い人型のものがあった。
後から知るのだが、これは宇宙装機試作タイプで父が話していたものだと知った

小山田真帆は、別室で、ウエットスーツの様な服に着替えていた。


小山田真帆は、笑顔でこちらに手を振りるので、振り返した。


『戒音ちゃん、これからプールにもぐるよ、見ててよ』


小山田真帆は、ウエットスーツに包まれていて、着痩せをしているのか、男性なら喜びそうな、綺麗なボディラィンをしていた。



小山田真帆は、不恰好な黒い人形の様なものに、近づいていった。


人形に触れると、奇妙な起動音がして全面が開いた。彼女はその中に入って暫らくすると、その人形は横たわっていたが動き始めた。
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