光の速度、君への想い
その黒い不恰好な人形は固定台をゆっくりと、離れやがてプールの端まで着いた

その姿をプールに隣接してある官制室で何名かのスタッフが見ており、何やら連絡を取り合っていた。


『では、試験開始します・・・起動状況は?』


『問題ありません、モニター及び装機は異常なしです・・ただ、息苦しいのは何とかなりませんか?』 


『了解、遠隔で、酸素供給バランスを少し変更する、モニター下部の供給パラメーターで確認を』


『了解しました』


小山田真帆の乗った黒い人型は、官制室の指示を受けてゆっくりと水中に沈んだ水飛沫が綺麗にあがる。


私は、すぐにプールに近づくと、水中に消えていく機体をみた。


官制室からの通信が、室内に聞こえるので、姿は見れないが、声で、小山田真帆が元気なのを確認した。


『水深五十メートル到達・・・・機体健在、指示どうぞ』


『了解、では、コンテナAをB地点に持っていきなさい・・』 


『了解しました』 


音声のみだと、わからないので官制室を窓ガラス越しに覗くと、白を基調とした明るい感じの部屋に並べられた、沢山のコンピューターに白衣を着た研究員が、データを見ながら、中央にある、大きなモニターに映る、人型が見えた。


人型の半分くらいの大きさのコンテナを運んでいた。人型は途中でコンテナを落としそうになりながらも、所定の位置まで運んだ。


『動きが重いです、水中抵抗のプログラム修正が必要かも知れない』


小山田真帆の意見を聞きながら研究員は、データ修正に移ったみたいだった。


『了解した、ソースをまとめフィードバックする』

研究員はデータを弄りながら、小山田真帆に伝える。

小山田真帆は、普段はあんな感じだか、仕事はきちんとこなす。
そういう部分には憧れる。同性にしかわからない、将来なれたら良いという姿。

暫らくして、小山田真帆が工事用の骨格しかない様な水中エレベーターに乗り上がってきた。


『小山田さん、お疲れ様あがってくれ』 


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