光の速度、君への想い

ラストサイエンスフィクション

息苦しい・・・


光も届かないくらいの深海にいる様な感覚。


周りは見えないが天には薄明かりが見える。


淡い光に向かうように私は一生懸命に泳いだ。


『戒音・・偽りの世界をまた築こうとしているのか?ガラクタの街を作り、人形を並べて、孤独に生きるのか?』


しわがれた声が響き渡る。

『孤独じゃない・・・』


一生懸命に泳ぎながら、心の中で否定する。


私は距離が縮まらないのに苛立ちを覚えた。


『孤独じゃない、私は・・一人じゃないから・・』


『偽りの仮面を被り、世界を哀れみ、悲壮な顔をするその奥底で、同時に世界を嘲笑する、戒音は、どうなんだ?』 



『偽善者・・・』


しゃがれた声を荒げる。


『偽善者じゃない!!』



叫びにも似た声が出てくる


『戒音、ココロを持たぬ混沌の人形よ・・・』







『人形じゃない!!』






【戒音――――】



『戒音・・・??』



いつもの、穏やかな声が私に聞こえてきた。


私は目を開くと、部屋に居た、汗で下着は濡れていてとても不快な気分を味わう

スーツ姿の父が私を心配そうに覗き込んでいた。


『戒音・・大丈夫か?うなされていたみたいだから』

『だいじょうぶです、父様・・・多分』


夢の奇妙な感覚が脳髄を麻薬のように蝕む様な気がした、払拭したい記憶。


汗まみれの私にタオルを渡すと、父はゆっくりと話した。


『手続きが遅れてすまないが、学校の準備ができたので、佐渡宇宙開発総合学園中等部へ、今日から通えるから、支度をして、制服はクローゼットの中だから』


父が部屋を出ていき、私は急いで学園指定のプレザーを着て階下へ向かった。


父の作った、あまり美味しくない朝食を食べて、でも顔は美味しそうに作りながら食べた。


偽善者―――こういうことをいうのかな?


私は思いながら、父に急かされながら学校へ向かった
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