光の速度、君への想い
佐渡に出来た火星再開発プロジェクトの先駆的な学校には、将来を見据えた、最先端の学問を学びに生徒が集まる。


私は開放的な雰囲気の白亜の学園に父と向かった。
父は学園長に挨拶に行き、その間、職員室で二十代後半の神経質そうな、色白の教師と、日常の手続きをしていた。


教師は私の日本語の流暢さを誉めていたが、あまり嬉しくも無かった。


父の挨拶が終わり、私は別れて、ホネと名付けた教師と教室に向かった。
ベルリンのミュウヒベルムと違い、何となく落ち着いた日本的な教室に感じた。

まるで、無菌室の様な隔離された進学校というか。
教科書の様なつまらない雰囲気。


30名近くいるクラスメートに挨拶しながら、私はいつもの作り笑いをして、すぐに馴染んだ。
嫌われないように、目立たないように。


1日が慌ただしく過ぎ、私の容姿が、日本人と違う珍しさもあってか、優しく迎えてくれた。


でも、私のココロは満たされない――


夢に出てきた様に、私はまた此処でも、偽りの仮面を被り、よい人として、感情を押さえていくのだろうか?


変えたいと願いながら、変わらない生活を過ごすのだろうか?
これが、変わらなければ私のココロは満たされないのだろうか?


そう考えた時に、ふと思い出したのが、小山田真帆の顔だった。


私の警戒線を掻い潜り、土足であがり込む、あの女の子。


彼女なら、私のココロを変えてくれそうな気がした。
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