光の速度、君への想い
翌日、あいにくの雨で私は事業中も窓から校庭を見ていた。
オゾン層の破壊が深刻化され窓ガラスも全面紫外線対応のものに変えられた。
紫外線にも、種類があるようで、炎症を引き起こすUVA・B対応のガラスである。

佐渡は島であるから、サーフィンも盛んであるが、紫外線指数が高いときは出来ないのだ。


特に私は、肌が弱いので簡易紫外線計を必ず持ち歩いている。


雨の時の空は嫌いだ・・


母親が家を出ていった時もこんな、昼なのに薄暗い、昔のロードムービーの様なインクを薄く滲ませた様な空をしていたからだ。


母親の悲しそうな表情が忘れられない。


授業が終わり、私はまだ、お客さまとして扱われているクラスに馴染めなかった

作り笑顔をしながら、私は放課後に、小山田真帆に会いに行こうと目論んだ。


友達は大切で、人間は社会という中で生活する関係上、1人で生活できないと知っていた。
だから、此処にいなければならないのは、わかっていたが、詰まらないのだ。


いつの間にか授業が終わり帰り支度の騒めきがある中、私に声をかけてきた男子が居た。


彼はサーフィンをしているのか、日に焼けた健康的な肌で、とびっきりの笑顔で私に挨拶をしてきた。


『戒音さんは、ドイツでは波乗りした事ある?』


私は彼を見ながら、同じく作り笑いをしながら答えた

『肌が合わなくて出来ないんだ・・・簡易紫外線測定器を持たないと・・』


私は、測定器を出し、申し訳なさそうな表情を作り返した、彼は少し残念そうな顔をして、私を見た。


『もし、良かったら日差しが弱いときに声をかけるかもしれないから』


彼は笑った。


あぁ・・・本当の笑顔ってこうするんだ・・私は自分が嫌になる。


あぁやって笑えたら、何て幸せなんだろう?


彼の笑顔は、まるで太陽のようで、私は月の光だ。


太陽は暖かくて、月の光は綺麗だけど、どことなく儚い光。


偽りの光―――


彼は、手塚晋一(てづかしんいち)で、男女通じてクラスの人気者だ。
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