光の速度、君への想い
『小山田さん・・』


私は春の微風に目を奪われて、同じ学部の棚橋幹也の声に気付かなかった。


『ごめん・・棚橋くん、ぼけぇ〜としてたよ』


幹也は、やわらかな表情でゆっくりと、こちらを見た

幹也の表情はまるで、全てのものを温かにするくらい穏やかな表情であり、それには裏表を感じない。


『今度の、企業研修は、田島重工の次期宇宙開発の作業用のワーカーのテストパイロットらしいね・・』


『そうみたいだね、棚橋くんは、どうする?受けるの??』


幹也は、こちらを見ながら優しく笑った。


『小山田さん次第かな?僕は、機械や数式には、強いと思うけど、コミニケーションは苦手だから、小山田さんが、そこにいてくれるなら、僕の弱点が補填されるからね』


幹也は、私から見ても完璧な人物で、コミニケーション不足なんて事は、絶対に有り得ないと思う。
ただ、ユーモアのセンスは疑問符だが。


『棚橋くんは、真面目くんだからね・・例えるなら、サイボーグ、サイバロイド、アンドロイド・・・カ―』


幹也は、それ以上は結構という、顔でこちらを見た。

『宇宙装機は、現在運用を検討されている、作業ポッドよりも、優れている点が多い・・・田島重工は、陸上兵器の開発もしているけど、これからは宇宙を見据えているんだよ・・・で僕らがそのテストパイロットになるんだよ』


『つまり、棚橋くんは、夢を話して私をスカウトしてるわけですね?』


『バレましたか?』


幹也の笑顔を見ながら、私は優しい気持ちになれる。

『棚橋くんがコミニケーション不足ねぇ・・・有り得ないけど、いいょ』


『付き合うよ・・・』


『ありがとう、で早速、明日から・・・』


『ん?』


『予測して、エントリーしておきましたから』


『私がそう答えると思って茶番劇を・・・』


このっ偽善者!!

と心の中で罵ったのは言うまでもありません。


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