光の速度、君への想い
父は田島重工の中ではかなり待遇が良かった。
それは、他企業の技術提携だったから余計にだった。

普通は持つことの出来ない家族用の施設パスを持つことが許された。


支度をしながら、ベルリンの友人にメールをしながらクローゼットに入った黒いフリルの着いたワンピースを着てフラワータイプのスカートを履いた。


居間に行くと、父さんがグレーのスーツを着て、タバコをふかしながら待っていて、私を見ると慌てて煙草を消した。


田島重工研究施設に隣接している社員寮なので、2分くらいで着くのだった。


カードキーを扉に付いたカードリーダーに近付けた。

セキュリティが解除され電子音と伴に、扉が開かれた父と解放感のある清潔なロビーを抜け、個人用の落ち着いた配色のオフィス棟へ向かった。


調度の良いデスクやら書棚があり、何だか驚いた。


私はフカフカのソファーに座り、楽しくなった。
いつかはこんな職場で働きたいと、漠然と感じた。


父は、呆れたような感じで笑いながら、ジャケットをクローゼットに掛けると、薄型のパソコンを起動させた。


今まで、父親の働く姿をあまり、見たことが無かったので、不思議な感じがした

私は、インスタントコーヒーを飲みながら、暫くは父を観察していた。


それも、30分くらいで飽き始めた頃に、ドアをノックする音が聞こえた。


『小山田です』


後ろ髪が少し跳ねていて、化粧も薄い感じで、小山田真帆は部屋に入ってきた。父といると、小山田真帆が凄く緊張しているのがわかった。


『小山田くん、すまないが戒音の学校の手続きの関係で、今日、一人なんだ、同性で同じくらいの年齢のスタッフが居なくて、君に、戒音をあずけたいのだが、今日は、訓練の日だね?できれば戒音に見せてあげてくれないかな?』


『わかりました』 


小山田真帆は私を見ると大きくうなずいた。
そして、にこやかな顔を見せながら、私の手をとり、部屋を出た。


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