ボクはボクでも、僕じゃない。
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「吉村さんっ!」
パタパタ駆け足が聞こえ、僕は振り返る
そこには眼鏡をかけた、真面目そうな男性がいた
「おはようございます!
今日もよろしくお願いします!」
息を切らしながら頭を下げる彼に、軽く笑みが溢れた
『・・こちらこそ、よろしく』
僕の名前は吉村貴斗 26歳
大手企業メーカーの社長の息子でありつつ、その会社に勤めている
父のお陰ではあるけれど、それを不快に思わずに接してくれる、優しい社員が僕を安心させてくれた
「あっ
今日は新作機器のお披露目でしたね!
いやぁ、楽しみだなぁ」
この男性は僕の同期であり、一番親しみのある友人だ
名前は 小倉 義実さん
真面目だけど、フレンドリーな一面もある
小「吉村さん
具合はもう大丈夫ですか?」
『うん
もう1ヶ月経ったからね
大分楽になったよ』
手の平をグー、パーしながら言うと、小倉さんは何故かホッとした顔をした
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