ボクはボクでも、僕じゃない。
1ヶ月前
僕は大きなバスの事故に遭っていた
原因は運転をしていたトラックの運転手が携帯を操作していて
そのまま僕の乗っていたバスに衝突したという
僕はその新聞もニュースも見せてもらえなかったので、詳しくは分からないが
乗客の半数は死亡
その半分は負傷で済んだそうだ
あまり僕には記憶がなく、
「事故のショックでしょう
思い出さない方が良い」
そう医師には言われた
小「でも、無事で良かったです」
仕事に復帰した後
心優しい社員たちが僕を励ましてくれたけれど、変な違和感があった
ブーブーブー・・・
突然、ズボンの左ポケットに入っていた携帯が鳴り
僕は慌てて思考回路を遮断した
画面には¨一葉さん¨の文字が写されている
僕は小倉さんに先に行ってもらい、タバコの喫煙所に入った
ピッ
『もしもし』
一「あっ、もしもし?
一葉だよー」
『知ってますよ』
クスッと笑うと、向こうからも小さな笑い声が聞こえた
一「今って、もう会社?」
『うん
まぁまだ時間はあるので大丈夫ですよ
どうかしました?』
一「仕事帰りにね、前に言ってたパスタのお店に行きたいなって思って」
『あぁ良いですよ
じゃあ終わったら迎えに行きます』
一「やったぁ!
じゃあまた後でねー!」
電話は切られて、僕はそのままタバコを口に加えた
その時
一人の社員がタバコを手にしながら喫煙所にやって来て
僕を目にした途端、驚いたように口を開いた
「・・・え?」
ぽかんっとする男の人に、不思議に思って声をかけた
『あの、どうしました?』
「・・あ、あっ
いや、そっか・・・・そうだったな」
自分に言い聞かせるようにそう何度も頷き、彼は「何でもないです」と笑った
.