赤い月
それからも幾人かの表情を失った子供たちが慈龍寺にやって来たが、景時はいつも、そんな子供たちにヘラヘラつきまとった。
心を取り戻し、親戚に引き取られたり養子になることが決まり、慈龍寺を後にする子供たち。
だが薫は慈龍寺に留まり、景時の後を追いオニ狩り僧になる道を選んだ。
景時は誰にでも優しい。
彼が非情にオニを狩るのも、憎しみや復讐ではなく、一人でも多くの人を救う為だと薫は知っている。
いつも笑顔を絶やすことなく誰かの心に浸透していき、その誰かをも笑顔にしてしまう。