赤い月

彼の優しさは、強さだ。
彼の心の壁は、危うさだ。

薫は、自分を救った強さと危うさを併せ持つ少年を、支えてやりたいと思っていた。

なんだか長く語ってしまったが、要は薫は景時が好きなのだ。

もう一度言っておくが、断じてソッチの意味ではない。


「…
そんなに好きか?」


「へ?」


「鬼神様。
そりゃ超ド級の美人だケドさ。
あんなおっかねぇの、ドコがいいワケ?」


(悪口?)


景時は口を尖らせたものの、あまりに真剣な薫の目に、出かかった文句を飲み込んだ。


「…
薫は、おっかなかった?
彼女のコト、恐い思った?」

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