赤い月

「んー…
おっかねぇのはおっかねぇケド、恐怖とは違うかな?
オメェは助けられてっし、俺は殺されてねぇし。」


『鬼神』のイメージは確実に変わったわ、と薫は眉をハの字にして頬を掻いた。


「彼女…捨てネコとか、ほっとけない人だと思うワケ。」


「…」


「飼えないし、懐かれちゃったら困るしーとか思いながら、でも結局ほっとけなくて連れて帰っちゃう、みたいな?」


(ソレまんまオメェじゃね?)


頬を染め熱く語る景時を見て、薫は苦笑した。

手を繋ぎ続けることへの警戒心と、それでも手を差し伸べずにはいられない優しさ。

あの女は、景時に似ているのだろうか?
あの女なら、景時の心の壁を壊せるのだろうか?

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