赤い月
また笑ってるし!
もう薫には話さねぇから!
などと壁を向いてベッドに潜り込んだ景時の背中を薫は見つめる。
答えは既に出ている気がする。
何にも捕らわれず、何も手にしようとしなかった景時が、あの女にはこんなにも強く執着しているのだから。
薫の心は決まった。
「…なぁ、あの女の言ったコト、覚えてるか?
オニとヒトは相容れないってヤツ。」
「…」
「ジジィとも、なんか話すンだろ?
『赤光』だっけか?」
「…」
「そんでさー、オメェが考えてさー…
キツイの承知の上で、それでもどーしても、あの女が欲しいって言うンなら…
…
一緒に捜してやる。」
掛け布団がモソモソ動き、赤い頭がピョコンと出てきた。
「まじで?」
「まじで。」