赤い月
呪術はほどなく完成した。
血の契約を交わせば、オニは術者の精を吸って生きられる。
二人が共にある限り、オニが飢えることはない。
千景はすぐに、オニに術を施した。
─ずっと一緒に生きていくつも りか?!
術の内容を知った秋時は激昂した。
─なにかあったら私の責任だも の。
私が彼を見守っていくわ。
千景は偉大な行者役小角に倣い、オニを『ゼンキ』と名付けた。
秋時や仲間たちの不安や困惑をよそに、一人のオニ狩りと一体のオニは、いつも寄り添いながら過ごし始めた。