赤い月
愛らしい幼子は、瞬時に巨大で醜悪な赤いオニに変貌する。
…いや、変貌するのではない。
始めから、オニ。
生を受けた瞬間から『闇』を抱えた、生まれながらのオニだ。
そのためなのか、狂っているからなのか、『赤光』はただのオニではない。
オニは、通常ヒトを喰らう。
だが『赤光』は偏食はしない。
貪欲に目に映る全てを喰らう。
オニも。
ヒトも。
だから『赤光』の気配を感じると、オニたちは大挙して気配の元へと押し寄せる。
同胞を喰らってチカラをつける前に、『赤光』を殺そうとする。
自分たちの身を守るために。
『赤光』が生まれた場所は、オニたちにとっては戦場に、人間たちにとっては大量虐殺の場となる。
ヒトからも、オニからも、忌み嫌われる存在…
それが『赤光』