赤い月
「俺は…
ずっと後悔してた。
千景とゼンキを認めなかったこと。
娘が愛した男を、信じてやれなかったこと。
…おまえを…「愛の証」を消せと言ったこと…
だから、千景におまえを託された時、本当に嬉しかったよ。
赦された気がした。」
そなたの為に、己の身を犠牲 にできる祖父と共に。
そなたの為に、妾に刃向かえ る友と共に。
「千景とゼンキが出て行った後のことはわからねぇが、あいつらだっておまえを大切に思ってたはずだ。
あの時の言葉通り、おまえを守りきったンだから。
オニにならずにここにいるのが、その証拠だろ?」
術者の命を賭したであろう、 その身の加護と共に。
「…それでも、俺たちがおまえを憎んでいると思うのか?」
その意味がわからぬほど…
己の価値を見失うほど、そな たは阿呆ではあるまいな?