赤い月

コンビニ袋を覗くと、雑誌やお菓子、それになぜかイチゴ牛乳が入っていた。

パックを開け、そのまま口をつける。

甘い…


「快気祝いとかって、メロンじゃねーの?
ナゼにイチゴ牛乳?」


「メロンはお見舞いだろうが。
『俺が生まれて来なければ』とか、『俺ってば愛されてンだ』とか恥ずかしゲもなく言っちゃうような中二野郎には、甘ぁいママのミルクで十分じゃん?」


「ぶふぅっっ」


景時が豪快にイチゴ牛乳を噴き出した。


「おまっ 汚っ?!」


薫は慌てて飛び退く。


「な? ななななな??」


「景時、汚い。
落ち着け。顔を拭け。
それから床を拭け。」


真っ赤な顔で目を白黒させて吃る景時に、薫は眉を顰めながらキッチンにあったタオルを投げた。

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