赤い月
執着、と彼女は言った。
その通りかもしれないと、景時は思う。
どうしてこんなにも欲しいのだろう。
どうしてこんなにも囚われてしまったのだろう。
生まれて初めて心に灯った暴れ狂う熱を、もて余す。
こんな恋は知らない。
(『胸を焦がす』とかってよく聞くケド、そんなレベルじゃなくね?
全身黒焦げの焼死体が仕上がるレベルじゃね?)
もう一度彼女に逢えるまで、炭になんかなンじゃねーぞ?と自分を励ましながら、景時はそっと胸に拳を当てた。