赤い月

「あ、景時。」


薫の声に、景時は目を輝かせて勢いよく振り向いた。


「いいいいた? 見えた?」


「や、アレ、UFOじゃね?」


薫は少年のような目で空を指差して言った。

景時の目は一瞬で死んだ。

確かに、見えるね。
飛行機っぽくない光だよね。
カクカクって、変な動きしてるよね。
一ヶ月前なら、はしゃぎ狂って動画撮ってたカモねー。


「…あー… ヨカッタネ。」


「…」


「…」


「っ!! 景時っ!!」


「UFOはもうイイデス。」


「バカが!! 見ろ!!!」

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