赤い月
彼女は月から視線を逸らし、隣に立つ景時を見上げた。
華奢な角に月光が反射し、キラリと光を放つ。
「傷は、もう良いのか?」
「絶好調。」
「…
身体の事だけを、問うておるわけではないぞ。」
景時は目を見開いた。
心まで丸裸にされそうな彼女の強い眼差しに、全身の血が沸騰しそうだ。
心配してくれていたのだろうか。
『赤光』だと知らされる自分のことを。
心配して…逢いに来てくれたのだろうか。
二人が出逢ったこの場所まで。