赤い月

角だ。
この女はオニだ。
憎むべき、狩るべき、オニだ。

なのに…


「闇は滅した。
もう用はない筈じゃ。
去るがよい。」


不発に終わった『股下スライディング大作戦』で、床にへたりこんだままの景時を無表情に見下ろして、女は言った。
返事を待つ素振りも見せず、踵を返し窓際へ寄る。


「…」


「…」


「‥‥」


「‥‥」


「‥‥‥」


「…
今宵は月見もままならぬ。」

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