赤い月

(鬼神様って…
なにゲに可愛い…)


殺されそうだから、言わないケド。

景時は真っ赤になって緩む頬を隠すように俯き、片手で髪を掻き上げた。


「心身共に、絶好調。
俺ね、すごく幸せ者だったみたい。」


彼女を安心させるように、微笑みと共に答えた。

なのに…

すぐに長い睫毛に隠されたが、景時を見上げるルビーの瞳が、揺らいだように見えた。

だが、それも一瞬のこと。

再び景時を映した瞳は、穏やかで優しい光を湛えていた。


「そうか。
さらなる幸せが、そなたの上にあるように。」

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