赤い月
「…で?
その右手に隠した得物を、どうする気じゃ?」
「あらら。やっぱバレてた?
んー…
どーする気ってゆーか…ね。」
景時は右手に握りしめたバジュラをポケットから出し、悪戯が見つかった子供のように困った顔をした。
「君を傷つける気はナイよ。」
「そなた如きに傷つけられるとは、思っておらぬ。」
「だよねー?
…でも、さ。
俺、君のコトまだナニも知らないの。
携帯も持ってなさゲだし、一ヶ所にいないってコトは家もなさゲだし、てゆーか、この辺じゃないどっかに行っちゃうっポイし?
名前すら教えてもらってナイのに、この二度と逢えない感、あり得なくね?」