赤い月
「そなたは阿呆じゃ。」
女は長い睫毛を伏せ、呆れたように首を振った。
銀髪が揺れて光を散らす。
「名とは呪。
生まれた直後に科せられる最初の枷じゃ。
僧ならば知っておろう?」
「…あー… ハイ…」
「ならば、安易に口にするでない。
相手が鬼ならば尚更じゃ。」
早死にするぞ、と諭される。
…え? 説教?
俺、説教されてンの?
景時は不思議な気持ちで、目の前の美しい生き物を凝視していた。
自分はオニだと彼女は認めて、俺をオニ狩りだと知っていて、さらに俺の自由を奪った上で…俺の身を案じるような説教すんの?