赤い月
「最近、調子悪ぃンじゃね?
溜め息ばっか。
いつもみたいにヘラヘラ笑えよ。」
「えー?
ヘラヘラって…
ソレじゃバカみたいじゃん、俺。」
バカみたいにヘラヘラ苦笑した後、景時はまた深い溜め息を吐いた。
いつもの軽薄そうな表情は消え、憂いを帯びた横顔はまさに美少年。
薫はそんな景時をまじまじと眺め、キメぇ…と口の中で呟いた。
「やっぱオメェ、おかしいぞ。
仕事中も、ボーっとしてたりキョロキョロなんか捜してみたり。
あんなんじゃ、オニに喰われっぞ。」
何があった?と、景時の目を覗き込む。