赤い月

「…」


「一度しか会ったコトねぇし、ほとんど喋ってねぇ。
名前も教えてくんねぇの。」


「…」


「すっげぇ綺麗で…
俺なんか相手にもされてねぇっつーか…」


「…」


「…薫? 聞いてる?」


景時が顔を上げると、今度は薫が顔を背けた。
それも凄い勢いで。

耳が赤い。
肩が震えてる。
口にくわえたままのガリガリ君の棒も、プルプルと…


「笑ってンじゃねぇぇぇぇ!!」


青い空に、景時の咆哮がこだました。

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