赤い月

オニは大きく三つに分類される。

まずは『雑鬼』(ザッキ)。
犬や猫などの動物が『闇』の宿主となり、オニと化したモノ。
ヒトと宿主を混ぜ合わせたような歪な姿で、知能はほとんどなく、本能のままにヒトを喰らう。
ヒトや動物の亡骸を宿主とした『屍鬼』(シキ)も、フォルムは違えど性質が同じことから、『雑鬼』と見なされる。

二つ目は『人鬼』(ジンキ)。
同じ色の『闇』を抱えた魂…つまり生きた人間を宿主とするオニ。
いくら大きな『闇』を抱えていようとも意思を持った人間を宿主にするのは困難なため、『人鬼』は稀少だ。
多少の知能を保持しており、姿形も『雑鬼』よりはヒトに類似している。
厄介なことに、『人鬼』は成長する。成りたての『人鬼』は『雑鬼』同様本能で行動するのだが、『人鬼』として年を重ねると、意思・思考能力・言語能力を有するようになるのだ。

しかし、オニはオニ。

ヒトを喰らうのだ。
喰らい続けるのだ。

欲望のままに。

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