赤い月
言葉は交わせても、心が通うわけがない。
まして、恋なんて…
「ほら、アレだ。
コスプレ好きのオネーサマなんじゃねーの?」
「…」
「『人鬼』でも耳まで裂けてたり、鱗だらけだったりすンじゃん?
一目惚れとかできねぇって。」
「…」
「ヒトだよ、ヒト。
オメェが喰われてねぇのが、その証拠。」
な?と景時の顔を覗き込む薫の目は、優しい。
まるで正気に戻れと諭しているようだ。
だが…
「…『鬼神』だったり…」
幼い声でポツリと呟いた景時の言葉に、薫は目を剥いた。